開会挨拶
杉本 錬堂 天城流湯治法 創始者
からだ会議は2012年に伊豆で始めた。
6年の間に海外はオーストラリアのシドニー、アメリカはニューヨーク、シアトル、様々な場所で開催している。
多いときで年間6回。
今年は東京と大阪の2回。
大阪は今年で3回目。
今年も癌をテーマに議論をしていきたいと思います。
奥田 行孝 からだ会議大阪 実行委員長
前々回のテーマは「癌に対する統合医療の智慧」
前回は「癌に対する統合医療のアプローチ」
今回は「この時代を生き抜くための智慧」
2025年には団塊の世代が75歳以上になり、二人に一人が癌と診断されると言われ、認知症患者は700万人前後に達すると予想されている。
この予想は今から変えていくことができる。
今日のからだ会議では、どうすれば体が良くなっていくのか、どのように予防すればいいのか?ということをお話ししていただきます。
講演:杉本 錬堂
『免疫力のメカニズム〜飲水・咀嚼・エクササイズ〜』
天城流は天の城の流派という意味
前は錬堂流という名前をつけていた。
2003・2004年、静岡県の補助金を使ってこの療法を広げるという話になった時に、錬堂流では怪しいということで、天城流に改名。
なぜ湯治法かというと、錬堂先生の生まれの静岡県伊東市は温泉で発達した地域。
パティシエをしていた1995年にふと氣が付いた。
人々の心を大自然で癒し、体を温泉で治していた地域だった・・・ということに。
奥さんからは瞬間湯沸かし器と言われるほど、ぱっと思いついたらすぐに発火しないと氣がすまないタイプ。
翌日、伊東市の観光課に行くが、
「今やっていることはおかしい。この地域に来た人をいかにだましてお金をとるかということしか広報していないよ。」
という話をする訳だが、当時1995年はオウム真理教の最盛期で、癒しとかヒーリングとかメディテーションと言うと物凄い“怪しい”と言われる。
おまけに生まれつきの怪しい風貌が災いして、窓口の観光課の役人に、
「あんたのは“癒し”じゃなくて”怪し”んだよ!」
と言われ困ったなと思いながらも、温泉療法を基盤にやっていた。
日本の温泉文化
温泉はすごく良い観光資源になるし、健康のツールとしては最高。
温水の中は3つの利点がある。
痛点を和らげる。体の痛みが半分から三分の二減る。
関節の可動範囲を拡げる。
免疫力を高める効果がある。
日本には交代浴という免疫を高める文化がある。
もともと、日本の温泉文化は40度の温水につかって体をほぐしたり様々なことをやる。
ぎりぎりまで入ってこれ以上我慢できないというとこから、さらに42度の熱いお湯に入る。
42度から我慢できないってなったら、38度の温水に入る。
入ったときは少し冷たく感じるが、38度は1時間近く入っていられる。
この時に導引といって、体の感じがどんな感じか教えていくと嘘みたいに氣持ち良くなる。
38度はどんな温度かというと・・・
具合が悪くなって熱が出るのは免疫を高めるための温度。
38度でふわふわしながら自分の頭に意識を向けると、けっこうふわふわして氣持ち良かったりする。
苦しいなかにも快楽があったりする。
熱が上がって冷めた時の爽快な氣分、復活するような。
実は38度の時に免疫力を高めてる。
残念ながら交代浴をやってるところがもうすでにどんどんなくなってきている。
昔の人は38度帯の浴槽に物凄くこだわっていた。
天然水・山水をひいたりして、本当に体が氣持ち良くなるようにしていた。
1999年にバーデンバーデンに招聘される。
驚くことに、この文化をやっている場所がドイツのバーデンバーデンにあり、世界中に発信しているが・・・
「日本人はどうしてバーデンバーデンに温泉文化を研究に来るのか」
と聞かれたので、
「バーデンバーデンが世界的に有名な温泉健康保養地だからです」
と答えたら、
「バーデンバーデンの文化は日本の温泉文化を真似したものだ。」
と言われ、びっくりした。
免疫について
これから団塊の世代が大変だなあと思ったら自分もだった。
そのためには自分みたいな健康な老人を作ればいい!
免疫力とは何か?
周波数で言うとα波
細胞で言うと、NK(ナチュラルキラー)細胞
元々、自分の中にあった免疫力が何故落ちたのか。
体温を上げる、α波、NK細胞、これらが衰えた理由はたった一つの原因。
咀嚼が足りなくなったということだけ。
子どもの頃、お腹が痛いと言ったら、パン屋をやってた父親が、「よく噛め」と言った。
背中が痛いと言うと、よく噛めよ。
頭が痛い、よく噛め。
なんでも、よく噛めと言っていた。
なんだこの親父と思ってたが、最近は自分が「よく噛め」と言っているのでカメ仙人と呼ばれる。
免疫が落ちてる体はどんな状態か。
一番言われてるのが低体温。
噛まない限り、低体温は避けられない。
何故避けられないのか?
お腹が硬い。お腹の奥のほうを触ると硬い。これが様々なところに波及する。
「あなたは、お臍の右側が硬くなっています。ちょっと押してみて。」
※毎回、参加者に自分自身の体に触れて痛み硬さなどを感じてもらい、それに応じたセルフケアを実践させて、その都度、体の変化を体感させ、自覚できたかどうかを挙手してもらい確認しながら進めていくワーク形式の講演となっている。
お臍の右側を押して痛いのは、咀嚼が足りなくて小腸系のストレス。
お臍の左斜め下を押して痛いのは、大腸系のストレス。
喉の真ん中で飲み込んでいると思い込んでいるが、咀嚼が足りなくて、右側で飲み込むと小腸系のストレス。
左側で飲み込むと大腸系のストレス。経絡とは違う。
右側で飲みこむと、右側の腰痛、背中の痛み、膝痛など、果ては右側の臓器の疾病につながる。
後は、生活習慣で身体の使い方の癖も関係する。
人が見えてないものが見えてるのではないかと勘違いされることがあるが、顔や姿勢、服の皺などに表れているので、誰でも見ればわかるようになる。
これは一口50回ぐらい噛んでるお腹。
お腹が柔らかいとはどういうものなのか、錬堂先生のお腹を触ってもらい自覚してもらう。
お腹を柔らかくする方法
唇の下の顎の部分を親指の爪の横で3回ぐらい十字に切るように刺激する。
前頭部と後頭部の間。百会を爪の先で3回ぐらい十字に切るように刺激する。
これだけでも体温が上がる。
2003年頃、安保徹先生を紹介された。
免疫力を高めるエクササイズを実践してもらったところ、
安保徹先生が「これはすごい。一緒にやろう。」ということで、
二年半ほど安保徹先生と福田先生と毎月一回、伊豆の修善寺の安保徹先生のところに来た癌患者対象に二泊三日のリトリートツアーで免疫力を上げたり食事のことをやっていた。
マクロバイオティックはすごく勉強した。
マクロバイオティックの久司道夫先生の第一回目の日本ツアーに参加し、それ以降2002年まで日本ツアーのアシスタントをやっていた。
マクロバイオティックをやって健康になる人とそうでない人がいる。
OOL(オリジン・オブ・ライフ)といって、人は単一の動物の進化ではない。
マクロバイオティックが通用するのは、犬歯の無い人だけ。
今の60代と20代では体系がぜんぜん違う。
昔のマクロバイオティック理論は合わない。
歯並び、骨格を観て、食事の理論も考えないといけない。
健康雑誌を見ると、少食が健康寿命を延ばすと書いてあるのに後半では長寿の人は朝から肉を沢山食べている・・・みたいなことが書いてある。
どっちが正しいというのではなく、それぞれに合ったタイプがあるということ。
犬歯のある人はよく噛めば肉を食べても大丈夫。
一番勉強したのは咀嚼。
咀嚼が足りないと唾液の分泌が悪くなる。
顎のラインが出てない人は唾液腺が詰まっている。
詰まっていないと、耳下腺を押すと指の第一関節の半分ぐらいまで入るほど柔らかい。
耳下腺が一番の免疫システムの唾液腺。
昔から、酸っぱいものを食べると免疫力が上がると言うのは、
酸っぱいものを食べると耳下腺のところがキュッとなって働くから。
天城流湯治法では粘液腺という唾液腺がある。
生理学、人体学的には粘液腺はないが、一番大事。
粘液腺を刺激すると、じゃかじゃか唾液が出る。
他の唾液腺はパイプだが、粘液腺はシャワーのようになっているため、死体解剖では閉じていてみつからない。
耳下腺を刺激して口の中に唾液を溜めて飲むと、体温が上がる。
よく噛んで唾液の分泌を良くすると免疫力は上がる。
免疫力を高める方法と不妊の改善方法は同じ。
不妊の女性のことを昔は石女(うまずめ)と呼んでいた。
婦人連盟などの圧力で石女という言葉が使えなくなった。
ところが、これは先人の智慧でものすごいキーワードになっていた。
石のように硬い、石のように冷たい、石のように濡れない
実はこれは女性だけの問題ではなく、男性にも同じように言える。
現在31組中29組が妊娠・出産している。
よく噛む、唾液の分泌を促す、胸をほぐす。
鎖骨の下が耳下腺、その下の肋間が顎下腺、その下が粘液腺、その下が舌下腺。
さらに仙骨の4つの穴も唾液腺4腺と対応している。
性器の分泌腺も同じく4腺あり、対応している。
一口40回がボーダーライン。
食べ物は飲み込むものでなく口の中で無くなってしまうものと概念を変える。
咀嚼が足らずに過ごしてしまった自分の体を1回はケアしないといけない。
免疫力を高めるためのエクササイズ
下顎のラインの耳下腺、顎下腺、粘液腺、舌下腺をマッサージする。
この時点でも体が温かくなってくる。
頭のてっぺんをほぐすとジーンっと気持ちよくなる。
側頭部の耳の斜め前の噛むとよく動く部分をごりごりとほぐすとフワーっとハッピーな感じになる。
体の中でフワーっとなるのはここだけ。ここが免疫システムの司令塔。
笑いが免疫力を上げるのは、この部分が気持ちよく刺激されるから。
怒るとこの部分が緊張する。悲しみはさらに硬直する。
飲み込んでしまって肋骨の間が硬くなっているので拡げるようにほぐす。
あばらのふちもほぐす。
上半身が温かくなる。
腸骨・恥骨のふちをほぐす。咀嚼不足で胃腸が硬くなって下がってきて硬くなる。
両手を重ねて掌で体に向かって右スパイラルにお腹を回す。
下半身も温かくなる。
たった2分で免疫力を高めるエクササイズはできる。
免疫力がちょっと落ちてきたと思ったら、このエクササイズをして免疫力をあげてもらいたいと思います。
天城流湯治法の書籍
肩・腰・ヒザの痛みやコリの手当法
からだの痛みはもちろん
「呼吸」「疾病」「うつ」「不妊」
様々な悩みに対応するメンテナンス法
天城流鬆身法師範
気功・太極拳/揺禅道アクティクラブ 指導員
やわら氣堂 主宰 奥田行孝